哲学/思想/宗教

世界
日本
異端と逸脱の文化史

世界
日本

世界
日本

小説
時代/歴史小説
評論/エッセイ
詩歌

小説
金原瑞人選オールタイム・ベストYA
評論/エッセイ
詩歌

映画/演劇
音楽
美術
画集/作品集

スポーツ
ワイン/酒
趣味/実用その他

新約聖書 訳と註

本巻
別巻

加賀乙彦長篇小説全集
辻章著作集
川村湊自撰集
ジェンダー研究のフロンティア
知の攻略 思想読本



炎症と人間
燃える地球と人体を癒す真の処方箋

【内容】
私たちの身体、社会、そして地球が燃えている!!
相次ぐ大規模火災、新型感染症の蔓延と人体に起こる炎症はいかに繋がっているのか? 人体、社会、生態系、そして地球という相互に密接な関係を持つ複雑なシステムが、〈植民地主義〉によって負っている大きな損傷を明らかにする。
エコノミストと医師のタッグが、現代世界の病理を診断。
真の原因〈植民地主義〉から脱するための
「深層医療」の真髄!

相次ぐ大規模火災、人体に起こる炎症と未曽有の感染症――資本主義と植民地主義のもたらす炎に、地球と人体は燃え上がっている。人体、社会、生態系、そして地球は相互に密接な関係を持つ生きたシステムであり、一ヶ所に障害が発生すると他に直接的な影響を与える。本書はこの複雑なシステムが、資本主義と今なお続く〈植民地主義〉によって負っている大きな損傷を明らかにし、人体と世界の双方を癒すための「深層医療」を提示する。


【内容目次】
序章
 世界が燃えていくにつれ
 診断(diagnosis)=切り離して(dia)+知る(gnosis)
 掠奪に強奪
 だが現代医学は偉大なのだ
 深層医療(ディープメディスン)
 不正義の解剖学
第1章 免疫系――わたしはあなたであるがゆえにわたしである
 免疫の反撃
 メチニコフとマクロファージ
 免疫学の「割れ窓」理論
 癒しの技芸(アート)
 治癒しない傷
 火事を火で消す
 身体に書き込まれた歴史
 集団免疫力を養う
第2章 循環系――サーモンはポンプ
 銀の流れ、負債の流れ
 隘路としての借金
 ストレスと炎症の生化学入門
 炎症性疾患としての循環器疾患
 下流の生態系の死
 サケはポンプである
 生活できるだけの賃金と債務免除
第3章 消化系――内なる森
 森の不思議な力
 腸内マイクロバイオーム――森への道しるべ
 森の種を播く
 森を育成する
 生命の網と死の網
 ブルーゾーンを植民地化する方法
 われわれの腸を脱植民地化する
第4章 呼吸系――最後に嗅ぐのは森林火災の臭いだ
 森の燃え方
 サイズが問題だ
 PM2.5の素敵な旅
 投資の風土を変える
 権力に真実を吹き込む
第5章 生殖系――イチゴ畑をリマトリエイトする
 植民地化の再生産――最前線に立たされる魔女と治療師(ヒーラー)
 スカイウーマンが知っていたこと
 産婦人科医の苦悩
 イチゴ畑と種(たね)と学校
 哀悼とリマトリエーション
第6章 結合組織――境界を超える医療
 皮膚という境界(ボーダー)の警備
 薬の色
 医学の支配人種
 名目主義対変革
 病院を脱植民地化する方法
 エッジ効果
第7章 内分泌系――新しい標準(ニュー・ノーマル)を創る
 液体の解剖学
 君にお熱
 新しい標準
 人間によって造られた環境の悲劇
 ストレスの反対
 政治的な解剖
第8章 神経系――生命の網
 地下連帯
 生命の樹
 炎症老化
 医療における正義
 脳の外にある精神
 悲嘆を堆肥にする
 世界網(ワールドワイドウェブ)の起源
 キノコ薬
 ケアのシステム
第9章 深層医療――身体の全体性を取り戻す
 現代医学は監獄であり、廃止が治療になる
 深層医療(ディープメディスン)のために自己を超える
 二重の貝殻飾り(ダブル・ワムパム)
 ケアの文化
謝辞


【著訳者略歴】
ルパ・マリア(Rupa Marya)
医師、活動家、母親、作曲家。カリフォルニア大学サンフランシスコ校准教授として内科の診療と教育に携わっている。構造の変革を通じて疾病対策に取り組む医療従事者の団体「害を与えない」連合の共同創設者。ラコタの保健指導者の招きに応え、スタンディング・ロックに医療と食料の脱植民地化のための、ムニ・ウィコニ診療所農場を設立する活動を支援している。また食料、医療、物語、学習を通じて植民地主義の傷を癒すことを目的とした団体「深層医療(ディープメディスン)サークル」の共同創設者でもある。農生態学(アグロエコロジー)に沿った農業を営む夫ベンジャミン・ファハラーや、ラーマイトゥシュ・オローニ協会と協力し、「農業は医療」事業の一員として、農民を、リマトリエイトした土地の生態学的な世話役と位置付け、食料を市場経済から解放する活動に取り組む。バンド“ルパと四月の魚”を率いて29ヶ国をツアーで回った。その音楽は、伝説のギル・スコット=ヘロンから「解放の音楽」と評された。

ラジ・パテル(Raj Patel)
テキサス大学オースティン校のリンドン・B・ジョンソン公共政策大学院の研究教授、同校の栄養学部教授、南アフリカのローズ大学研究員。著書に、Stuffed and Starved(邦訳『肥満と飢餓――世界フード・ビジネスの不幸のシステム』佐久間智子訳、作品社、2010)と『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラーにランクインしたThe Value of Nothing(邦訳『値段と価値――なぜ私たちは価値のないものに、高い値段を付けるのか?』福井昌子訳、作品社、2019)、ジェイソン・W・ムーアとの共著にA History of the World in Seven Cheap Things(邦訳『7つの安いモノから見る世界の歴史』福井昌子訳、作品社、2025)がある。ジェイムズ・ビアード財団リーダーシップ賞受賞。気候変動と世界的な食糧システムに関する画期的なドキュメンタリー映画『アリとキリギリス』の共同監督も務めた。また持続可能な食糧システムに関する国際専門家パネルのメンバーであり、持続可能性の危機の原因とその解決策について、世界中の政府に助言をしている。

山本規雄(やまもと・のりお)
1967年東京都生まれ。出版社等勤務を経て、現在、翻訳業・編集業に携わる。主な訳書にヨハン・ハリ『うつ病 隠された真実――逃れるための本当の方法』(作品社、2024)、ミダス・デッケルス『うんこの博物学』(作品社、2020)、ジャック・アタリ『新世界秩序』(作品社、2018)、ルイ?ジョルジュ・タン編『〈同性愛嫌悪(ホモフォビア)〉を知る事典』(共訳、明石書店、2013)、ヴァンダナ・シヴァ『アース・デモクラシー』(明石書店、2007)など。