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新約聖書 訳と註

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新約聖書 訳と註 第四巻 パウロ書簡 その二/擬似パウロ書簡

【内容】
パウロ思想の中核をなすローマ書他各書簡を精密に読み解く。新約聖書学の最前線に立つ詳細な訳注。古代の文献としてのありのままの姿を正直に再現。
一語、一句原文を精査校訂、 現代の「日本語訳・新約聖書」の 定本となる画期的訳業!

治以来、新約聖書のさまざまな日本語訳の試みが行われてきました。日本聖書協会に限っても、文語訳、口語訳、共同訳そして新共同訳と、何回かの改訂がなされています。現在最もスタンダードな聖書として流通している「新共同訳」は、プロテスタントとカトリックとの共同作業によるものですが、諸所に護教的な「解釈」が盛り込まれていること、そして古代文献の翻訳に必須の訳註がついていないこと等の欠点があります。
そうした背景のもと、今回の「田川建三個人訳」は、いわゆるキリスト教会のドグマから完全に自由で、かつ、徹底した正文批判がなされ、一つ一つの語義・語釈についても詳細な註釈が施されています。本書により、名実ともに世界に通用する日本語訳「新約聖書」が誕生したこととなります。

【第一巻】マルコ福音書/マタイ福音書(既刊)
【第二巻上】ルカ福音書(既刊)
【第二巻下】使徒行伝(既刊)
【第三巻】パウロ書簡 その一(既刊)

【第四巻】パウロ書簡 その二/擬似パウロ書簡(既刊)

【第五巻】ヨハネ福音書(既刊)

【第六巻】ヘブライ書/公同書簡(2014年9月刊行予定)
【第七巻】ヨハネ黙示録(2015年12月刊行予定)

●本叢書の特徴
*不要な解釈や護教的読み込みを排して、できる限りギリシャ語原文そのままに日本語に移し替えた。
*既存の訳と異なる場合は、「註」において、どういう理由で異なる訳が生じるのか、そのつど丁寧に記した。
*できる限り多く、正文批判に言及した。また、正文批判の実例も紹介するべく努めた。
*異なった解釈が可能な場合は、それぞれの解釈の長所短所(文法的、語義的、歴史的な妥当性)をすべて
  列挙するようにした。
*一つの訳語では原語の意味を正確に表現できない場合は、それぞれの単語本来の意味を丁寧に説明した。
*各文書の書かれた時代的状況、背景に関する最小限の解説を付した。
*固有名詞については最小限の説明を付した。

「新約聖書は、なんのかんのと言っても、人類の歴史上最重要の遺産の一つである。日本語の読者も、それを正確に理解できる日本語訳でお読みになる権利があろうというものだ。
 とは言っても、正直な話、新約聖書全体の翻訳をなすにはまず古代ギリシャ語の語学力がしかるべき水準に達していないといけない。私の場合は、その点で、自分の語学力が辛うじて及第点に到達したかな、と思えるようになったのは、六十歳代も半ばになってからである。語学力ばかりは蓄積がものを言う。まして相手は古代の言語であるから、数十年かかって積み上げてきた蓄積がようやくものを言うようになるには、私の遅い歩みでは、六十歳をかなり超えてしまった、ということである。……古代の言語と言っても、それは生きて用いられていた言語である。従って、何か謎解きでもするような感じで、一つ一つひねくって考えてみて、それで現代語に置き換えてみた時に何とかわかったような気がして、ああそうか、そういうことを言っているのか、などとやっているようでは、その生きた感じはとらえられない。ましてや、辞書にのっている訳語を一つ一つ拾ってきて、それを右から左に写して並べたって、訳になるわけがない。原文そのものをすっと読んでみて、何かこう、生きてしゃべっている雰囲気が伝わってくるような、そういう感覚が生じてこないと、どうも語学力とは言えない。そういう感覚が身につくのに、私の遅い足取りでは、六十歳代の半ばになっていた、ということだ。……まだ自分に余命のあるうちに、一人の専門家として担うべき最小限の課題を果さないといけない」――本叢書の序文より