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エルドアンが変えたトルコ
長期政権の力学

【内容】
大変革をもたらした“引力政治”とは何か?
BRICSの次、「NEXT11」として注目を集める新興国トルコ。その躍進を実現したエルドアン長期政権。政権維持の政治戦術を、現代トルコ研究の第1人者が、20年以上の現地調査とデータ分析に基づき解き明かす。地政学的要衝トルコの今後と、新興国の政治力学を理解するための必読書。

世界で注目が増す、トルコとは?
日本の2倍の広さの国土の1割が欧州、9割がアジアに存在する。国民8400万人の9割以上がイスラム教徒でありながら、国家制度を宗教的戒律から切り離した近代国家。NATO加盟国として第2の兵力を所有し、EU加盟を目指しかつユーラシアを舞台に独自外交戦略を展開。過去20年で、1人あたり国内総生産(GDP)は、約3倍に増え、GDP総額では世界20位に入る。無人戦闘機「バイラクタル」の活躍で知られるように製造業は活況を呈し、自動車産業は生産台数で欧州五指に入り、白物家電産業も欧州市場で首位を争う。


【内容目次】
はじめに
序章 なぜ一党優位を維持できたのか
コラム(1)エルドアンが首相になるまで

第1章 公正発展党とは――政党としての特質
一 イデオロギー
二 組織化
三 支持層
コラム(2)武闘派と穏健派――反体制派の戦略
コラム(3)エルドアンのちゃぶ台ひっくり返し――クルド武装組織との和平過程

第2章 後光力――経済政策と有権者
一 一党優位制と経済業績投票
二 一党優位制における個人の投票行動
三 後光の発生と消滅
コラム(4)エルドアンのハットトリック――サッカーと政治

第3章 庇護力――社会的保護の拡充
一 開発途上国における社会的保護
二 保健医療と年金
三 社会扶助
四 政権支持効果
コラム(5)難民のジレンマ?――トルコEU難民合意
第4章 言説力――民主主義からポピュリズムへ
一 エルドアンのポピュリズム
二 エルドアンの言説転換
三 劣勢での多元主義フレーム
四 優勢での多数派主義フレーム
コラム(6)もういちどイスタンブル――やり直し選挙での与党再敗北
第5章 危機を機会へ――二〇一六年七月クーデタ未遂
一 「トルコらしくない」クーデタの試み
二 学生支援から国家浸透へ
三 AKP政権との蜜月から対立へ
四 排除と便乗
コラム(7)誤算の清算――トルコのシリア侵攻

第6章 小党依存の強権化――集権的大統領制導入
一 議院内閣制から集権的大統領制へ
二 集権的大統領制の構造
三 大統領・国会同時選挙
四 与党集票力の低下
コラム(8)外向き、内向き、風の向き――AKP政権の外交 第7章 崩壊の予兆――統治能力低下と経済危機
一 IMF構造改革成果の消滅
二 大統領への集権と経済危機
三 集権的大統領制の脆弱性
四 政権交代の可能性
コラム(9)海峡の番人かNATOのジョーカーか――ウクライナ戦争

終章 引力政治から無力政治へ
コラム(10)トルコ大地震――与野党の復興選挙

注記/あとがき/参考文献/事項索引/人名索引


【著者略歴】
間寧(はざま・やすし)
1961年生まれ。1984年、東京外国語大学英米語学科卒。1991年、中東工科大学(アンカラ、トルコ)行政学修士課程修了。2004年、ビルケント大学(アンカラ、トルコ)政治学博士課程修了。アジア経済研究所および東京外国語大学大学院客員教授。専門は、比較政治学、トルコ政治経済。最近の主な著作に、“Conservatives, nationalists, and incumbent support in Turkey,” Turkish Studies, Vol. 22 (2021)、編著に『トルコ』(シリーズ・中東政治研究の最前線1、ミネルヴァ書房、2019年)など。