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ポスト・オリエンタリズム
テロに時代における知と権力

【内容】
サイードの思想や“ポストコロニアリズム”を超えて中東−西洋の関係を問い直す新たなる古典。 「サイード後、最も傑出した中東出身の知識人」とされる著者がさらに混迷を深めるイスラーム世界と欧米の関係を、新たな歴史的視座で分析した名著。 「ポスト」とは、サイード『オリエンタリズム』が提起した問題の“次の段階”を予告している、という意味だけではない。本書は、アメリカ合州国に対する批判者サイードの「ポスト」の位置をも占めており、著者ダバシは「ポスト・サイード」の知識人なのである。
「テロの時代」には、途切れることのない前史が連関しており、大国の政治・軍事と共犯関係にあった知識人たちが常に存在してきたことを、本書は緻密に分析していく。頻発する「テロ事件」や「難民危機」のなかで台頭する、極右的な排外主義、トランプの「米国第一主義」に対して、本書は最も鋭く深い批判となるものである。(日本語版解説より要約)

【著訳者略歴】
ハミッド・ダバシ(Hamid Dabashi)
米国コロンビア大学教授。専攻は中東研究・比較文学。「イラン出身のサイード」とも称され、現在、その発言が最も注目される中東出身の思想家。
1951年、イラン南西部のアフヴァーズ生まれ。1976年、米国ペンシルヴェニア大学に留学し、同大で博士号を二つ取得(文化社会学とイスラーム学)し、1989年より現職。イランおよびイスラームの研究を基本としながら、広く中東地域の歴史・政治・文化について論じ、とりわけ2000年代に入ってからは、特に旺盛な執筆活動を続けている。中東問題やアメリカの中東政策についての時事的な評論を発信することも多く、エドワード・サイード亡き後(2003年没)、中東出身の在米知識人として、すなわち中東からも米国からも批判的距離を保って分析をすることのできる越境的知識人として、その発言は常に注目されている。柄谷行人は「サイード亡き後のアメリカで、最も傑出した中東出身の知識人の一人」と述べている。

早尾貴紀(はやお・たかのり)
東京経済大学准教授。専門は社会思想史。1973年、福島県生まれ。東北大学経済学研究科博士課程修了。主な著書に、『ユダヤとイスラエルのあいだ──民族/国民のアポリア(青土社)、『国ってなんだろう?』(平凡社)、『シオニズムの解剖──現代ユダヤ世界におけるディアスポラとイスラエルの相克』(共編著、人文書院)など。主な訳書に、イラン・パペ『パレスチナの民族浄化──イスラエル建国の暴力』(共訳、法政大学出版局)など。

洪貴義(ホン・キウイ/こう・きよし)
法政大学、早稲田大学非常勤講師。専門は政治学・思想史。1965年生まれ。立教大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。主な著書に、『マイノリティは創造する』(共著、せりか書房)、『ポストコロニアリズム』(共著、作品社)、『ディアスポラから世界を読む』(共著、明石書店)など。

本橋哲也(もとはし・てつや)
東京経済大学教授。専門はイギリス文学、カルチュラル・スタディーズ。1955年、東京生まれ。東京大学文学部英文科卒業後、英国ヨーク大学で博士号取得。主な著書に、『ポストコロニアリズム』(岩波新書)、『深読みミュージカル 歌う家族、愛する身体』(青土社)、『ディズニー・プリンセスのゆくえ──白雪姫からマレフィセントまで』(ナカニシヤ出版)など。

本山謙二(もとやま・けんじ)
大学非常勤講師およびライター。専門は芸能文化研究。1973年、静岡県生まれ。東京大学人文社会系研究科単位取得退学。主な著書に、「『脱線』からアチャラカへ――下町の『辺境』三ノ輪“界隈”の文化」『ディアスポラから世界を読む――離散を架橋するために』(共著、明石書店)、「甦り、妖怪化する歌、『お富さん』をめぐって」『差別と排除の(いま)第3巻 文化・メディアが生み出す排除と解放』(共著、明石書店)、「ネオンぐらしの蝶々とTraveling」『文藝別冊 藤圭子 追悼』(共著、河出書房新社)など。

【内容目次】
日本語版序文 翻訳可能性にさらされた亡命
ペーパーバック版への序文
序章 テロの時代における知と権力
第1章 亡命知識人について
第2章 ゴルトツィーエル・イグナーツとオリエンタリズムをめぐる問題
 ゴルトツィーエルとサイード
 『ムスリム研究』の概要
 イスラームとの距離
 ゴルトツィーエルの『日記』
 パタイによる非難と反論
 アズハル大学のイグナーツ・アル=マジャーリー
 師ヴァーンベーリとの対比
 捏造されたスキャンダル
 「排外主義」のレッテル
 私的手記の歪曲
 傑出したイラン人学者たち
 『オリエンタリズム』のなかのゴルトツィーエル
 フーコーと知識社会学の水脈
 傑出した東洋学者
第3章 私はサバルタン主義者ではない
 捨てられたタイトル
 西洋の盲点
 ネイティヴ・インフォーマー
 ネイティヴと西洋の再定義
結論 対話者を取り替える
 
日本語版解題 〈世界〉思想を求めて――越境的知識人ハミッド・ダバシを東アジアで読む
 1 本書の位置づけ(早尾貴紀)
  著者ハミッド・ダバシについて
  本書について
  深刻化するテロの時代
  大国による侵攻の中東近現代史
 2 東アジアの歴史経験と『ポスト・オリエンタリズム』(洪貴義)
  歴史の概念について
  日本におけるポスト・オリエンタリズム
  東アジアの越境経験
  新たな星座的布置へ
 3 翻訳にあたって