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フェルディナン・ド・ソシュール
〈言語学〉の孤独、「一般言語学」の夢

【内容】
第22回和辻哲郎文化賞(学術部門)受賞!
第27回渋沢・クローデル賞受賞!
ソシュールの〈一般言語学〉を、学の極限を生きた一人の人間の思想劇として、綿密、壮大に描き出す。前田英樹氏推薦!
互盛央氏の大著を推す
「互盛央氏のこの本は、ソシュールの〈一般言語学〉を、学の極限を生きた一人の人間の思想劇として、綿密、壮大に描き出すことに成功している。このような人間を、ただ天才と呼ぶだけでは余りに不十分であり、彼の言語学を、ただ独創的と呼ぶだけでは何の意味もない。互氏の力いっぱいの論考を辿っていけば、誰もがその思いを深めていくことだろう。ソシュール論は、なぜ日本でこれほどまでに本質的になるのか、改めて不思議になった」
前田英樹(立教大学教授・フランス思想)


【内容目次】
凡例/まえがき

序章
 誕生
  国家と言語/「比較文法」誕生へ
 成長
  ドイツの言語学/国民国家の逆説
 歴史
  近代的歴史学の誕生/「歴史」の原理
 起源
  バッハ復活/近代的法学の誕生/「法則性」の発見
 胎動
  アドルフ・ピクテ/ソシュールの処女作/ジュネーヴからライプツィヒへ/『覚え書き』と「盗用」疑惑/ライプツィヒからパリへ
 危機
  第一次世界大戦後ドイツ/歴史主義の「毒」
 破壊
  「意志」という原理/文献学者ニーチェ/因果性批判/「歴史病」を超えて
 帰還
  「まったく新奇な仕事」/「執筆恐怖症」/ジュネーヴという場所/ジュネーヴ大学就任講演
 始動
  「言葉の存在」/最初の授業にて/連続性の原理/「書物」の企て

第一回講義
1 「言語学」との格闘
 一 「一般言語学」の苦悩
  視点と対象/静態と動態の分裂/アフォリズムの「書物」へ
 二 「言語学」の病い
  「一般言語学」という問い/第一回講義の概要/言語学とは何か/ソシュールの反ユダヤ主義/転訛/ジュネーヴの歴史
 三 変化する言語へ
  文字言語批判/マッハの問いとの交錯/言語音とは何か/内破と外破/共時態の回避
2 断絶の回避
 一 音声変化
  言語の「変化」/変化と法則性/変化の原因/変化と連続性の原理/共時態との接触/言語の境界
 二 「類推現象」という陥穽
  類推とは何か/類推をめぐる系譜/共時態の問いへ/教師の決断/「語の死体」/真正なる通時言語学
 三 「語る主体」の意識という基準
  言語[ラング]とパロール/言語における非人称の次元/ヘーゲル哲学と歴史主義/「形態相互間の連合」/下位単位の存在/単位の基準/プラハ学派/構造主義の誕生/人類学の展開/音素の存在/構造主義と「歴史」/共時態の還元/「歴史形態論」の可能性/〈言語学者〉の声/「言語学」への還元がもたらすもの/第一回講義は何をしていたのか

第二回講義
1 「一般言語学」に向かって
 一 二重性の桎梏
  第二回講義の概要/「二つの言語学」/社会制度としての言語/「反自然」としての社会性/連続性の欠落/リードランジェとの対話
 二 単位の存在
  「記号学」の構想/言語学と記号学/記号学と文字言語/記号学から〈言語学〉へ/言語という「例外的な体系」/ホイットニーの「言語の科学」/言語記号の価値
 三 連続性からの逃走
  単位の画定/同一性の問題/「同じ」と〈同じ〉/ゲシュタルト心理学とセシュエ/ソシュールのセシュエ批判/セームとアポセーム/共時態への跳躍/共時態と通時態の区分/現象と関係/〈言語学〉としての通時言語学?/〈時間〉から「時間」に通じる道/動揺する教師
2 歴史と起源
 一 覚醒する〈言語学〉
  「省略」をめぐって/「合理」からの隔絶/「非理性」の発見/意図的か、偶然か/最後の抵抗
 二 「起源」の問い
  二つの「序説」から成る講義/「第一の時代」の言語学/アウグスト・シュライヒャー/ソシュールのシュライヒャー批判/「自然」の呪縛/「人種の獲得物」としての言語/国語国字問題/民主的な独裁の出現/「二つのフランス」/「自然」からの解放/青年文法学派と類推/大脳局在説/測定される言語の優劣
  三 「国民不在のヨーロッパ」へ
ピクテとの訣別/民族の移動と言語の複数性/「移行の感知不可能性」/「集約」による単位の発生/構造主義における「自然」/状態の歴史化、歴史の状態化/連辞と連合/連合の歴史へ/「国民不在のヨーロッパ」

第三回講義
1 多数性の思考
 一 言語の複数性
  地名研究から伝説研究へ/第三回講義の概要/講義の計画/歴史と伝説/ニーベルンゲン伝説の変遷/伝説研究から〈言語学〉へ/各部の役割
 二 「起源」からの脱却
  言語の地理的多様性/言語を「人種」から分離する原理/多様性と「起源」の問題/言語起源論の系譜1/言語起源論の系譜2/言語起源論の系譜3/言語起源論の系譜4/言語起源論の系譜5
 三 「歴史」から〈歴史〉へ
  「方言的特徴はあるが、方言はない」/出発点も到達点もない移行/「郷土の力」と「交通の力」/事実と虚構/「存在なき現象」としての「名前」/デリダのソシュール批判/〈一〉なる言語の歴史へ
2 潜在的な言語
 一 「初歩的真理」からの出発
  「一」なる言語からの出発/メスメリズムの系譜/心霊主義との結託/「非理性」の言語/意図的か、偶然か/無限の連合/二つの恣意性へ/恣意性の原理/「反自然」にして「非人為」/線状性の原理
 二 破綻する講義
  聴覚像と概念の絆/〈同じ〉へのまなざし/〈一〉なる言語のただなかへ/相対的恣意性/講義のやり直し/時間の導入/時間と社会的な力/〈時間〉と「時間」の分裂/「チェス」の比喩/〈言語学〉としての「一般言語学」/破綻なき「支離滅裂」な講義
 三 「一般言語学」の夢に向かって
  連辞と連合/辞項なき関係/「記憶のゼロ-マイナス-一度」の言語/意義と価値/能動的な力、反動的な力/終幕/最後の仕事/言述[ディスクール]という問い/〈言語学〉の孤独、「一般言語学」の夢
注/あとがき/書誌/参考資料/人名索引