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ブルターニュの歌

【内容】
毎年家族で夏の数カ月間を過ごした、思い出の地ブルターニュ。
水のにおい、水の色、古城での祭り、土地の人々との交流……。
そして、戦時下に生を享け、戦争と共に五年を過ごしたニース。
母と祖母の庇護、兄との川での水浴、まばゆい日々の記憶……。
ノーベル文学賞作家が初めて語る幼少年時代。


 そこは私の誕生の地ではなく、一九四八年から五四年まで毎年夏の何カ月かを過ごしたにすぎないが、どこよりもたくさんの感動と思い出をもたらしてくれた土地である。(…)われわれはブルトン人であり、どれほど時を遡っても、こうした見えない堅固な糸でぼくらはこの土地に結ばれているという考えとともに私は成長したからだ。
(「ブルターニュの歌」より)

 私の心をかき乱すのはおそらく、歴史のこの部分だ。それは、戦争とは子供を殺すものであることを理解させる。戦時中に生まれた者は、真に子供でいることができない。(…)武器を運搬する子供は子供ではなくなる。その子は人生の別の年代に属することになる、別の時代に入ってしまったのだ、粗暴で、獰猛で、仮借ない時代に。大人の時代である。
(「子供と戦争」より)


【内容目次】
ブルターニュの歌
サント・マリーヌ/ル・ドゥールのおかみさん/路上にて/コスケ城/刈り取り/夜の彷徨/コロラドハムシ/戦争/海へ/引き潮/トルシュ崎/宗教/歴史以前に/神秘/ブルターニュは永遠に!/自治に向けて?/あるブルターニュの英雄
子供と戦争
訳者あとがき 幼少期をめぐる反‐自伝


【著者・訳者略歴】
ル・クレジオ(Jean-Marie Gustave Le Clezio)
1940年、南仏ニース生まれ。1963年のデビュー作『調書』でルノドー賞を受賞し、一躍時代の寵児となる。その後も話題作を次々と発表するかたわら、インディオの文化・神話研究など、文明の周縁に対する興味を深めていく。主な小説に、『大洪水』(1966)、『海を見たことがなかった少年』(1978)、『砂漠』(1980)、『黄金探索者』(1985)、『隔離の島』(1995)、『嵐』(2014)、『アルマ』(2017)など、評論・エッセイに、『物質的恍惚』(1967)、『地上の見知らぬ少年』(1978)、『ロドリゲス島への旅』(1986)、『ル・クレジオ、映画を語る』(2007)などがある。2008年、ノーベル文学賞受賞。

中地義和(なかじ・よしかず)
1952年、和歌山県生まれ。東京大学教養学科卒業。パリ第三大学博士。東京大学名誉教授。専攻はフランス近現代文学、とくに詩。著書に、『ランボー 精霊と道化のあいだ』(青土社)、『ランボー 自画像の詩学』(岩波書店)など。訳書に、『ランボー全集』(共編訳、青土社)、J・M・G・ル・クレジオ『黄金探索者』(新潮社/河出書房新社)、『隔離の島』(ちくま文庫)、『嵐』(作品社)、A・コンパニョン『書簡の時代──ロラン・バルト晩年の肖像』(みすず書房)など。編書に、『対訳 ランボー詩集』(岩波文庫)、『ボードレール 詩と芸術』(水声社)など。