眠れる記憶

パトリック・モディアノ
山崎美穂訳
本体2,600円
46判並製
ISBN978-4-86182-982-6
発行 2023.6
【内容】
記憶の芸術家、ノーベル文学賞受賞後の第一作。
小さな偶然と大きな奇跡──忘却と想起を詰め込んだ、日本語版オリジナル編集の小説集。
眠れる記憶
──僕は、街角でしか人が真に出会うことはあり得ないと長らく信じていた。
老齢を迎えた語り手が、六十年代を生きた自らの激動の青年期を振り返りながら、記憶の奥底に眠っていた女性たちとの出逢い、別れ、そして再会の思い出を想起する。ノーベル文学賞受賞後初の作品となる表題作。
隠顕インク
──この人生には空白がいくつかある。
パリから失踪した女性を捜し出すという任務を授かった主人公は、彼女が住んでいたと思われるアパルトマンで一冊の手帳を発見する。三十年後、自ら調査を再開して目撃者を追跡するのだが……。
【著訳者略歴】
パトリック・モディアノ(Patrick Modiano)
1945年フランス生まれ。1968年に『エトワール広場』でデビュー。1972年に『パリ環状通り』でアカデミー・フランセーズ小説大賞、1978年に『暗いブティック通り』でゴンクール賞を受賞。その他の著作に、『ある青春』(1981)、『1941年。パリの尋ね人』(1997)、『失われた時のカフェで』(2007)などがある。2014年、ノーベル文学賞受賞。
山ア美穂(やまざき・みほ)
慶應義塾大学大学院仏文学修士号、東京外国語大学大学院学術修士号を取得。現職は公立高校のフランス語講師。文化・文学・芸術分野における仏日翻訳や日仏翻訳のほか、社会学関連記事の英日翻訳、公益財団法人での執筆などに携わる。訳書に、エステル=サラ・ビュル『犬が尻尾で吠える場所』(作品社)がある。