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ウールフ、黒い湖

【内容】
ウールフは、ぼくの友だちだった――
オランダ領東インド。農園の支配人を務める植民者の息子である主人公「ぼく」と、現地人の少年「ウールフ」の友情と別離、そしてインドネシア独立への機運を丹念に描き出し、一大ベストセラーとなった〈オランダ文学界のグランド・オールド・レディー〉による不朽の名作、待望の本邦初訳!


『ウールフ、黒い湖』は、過去を探し求める旅の記録である。オランダの若者である〈ぼく〉は、一九四七年、現在のインドネシアで過ごした自分の少年時代、また、同い年の現地少年とのかつての友情を顧みる。そして、二人の関係が永遠に断たれたと思われたとき、主人公は答えを出さねばならないという思いに駆られる。
あそこはほんとうに自分の居場所だったのだろうか? ウールフは、ほんとうに友だちだったのだろうか? 自分はあの国の内情やそこに暮らす人々を知っていたのだろうか? ウールフは、実は〈ぼく〉のかたわれの分身であり、自らの闇の部分、自分も知らぬ影の部分なのだ。
ヘラ・S・ハーセ「あとがき ウールフと創造の自由」より

【著訳者略歴】
ヘラ・S・ハーセ(Hella S. Haasse)
1918年2月2日、旧オランダ領東インド・バタヴィア(現インドネシア共和国ジャカルタ)生まれ。父親の仕事の関係で20歳までを同地で過ごす。1938年、大学進学のため単身オランダへ渡り、アムステルダムで生活を開始。翌年第二次世界大戦が勃発、1940年5月からはナチスドイツ占領下となった同地で暮らしつつ、演劇を学び、さまざまな文芸活動を始めた。戦後1948年のオランダ全国読書週間の際に刊行された本作『ウールフ、黒い湖』が大反響を呼び、新進作家ハーセの名はオランダ国内に一気に知れ渡った。その後60余年に及ぶ長い作家生活の中で、劇作、詩作も含め、長篇歴史小説、少女時代を過ごした東インドを題材とした小説や現代小説、自伝的エッセイ、文芸評論を多数執筆、戦後オランダ文学を代表する文豪となった。1992年、〈国家芸術文化栄誉勲章〉叙勲、2004年にはオランダ語圏の文学における最高の栄誉である〈オランダ文学賞〉を受賞。他言語への翻訳の最も多いオランダ作家として国際的にも高く評価されており、特にフランスでは〈芸術文化勲章〉を二度にわたり(1995年オフィシエ、2000年コマンドゥール)叙勲。また、ユトレヒト大学、ベルギーのルーヴェン大学両文学部からは名誉教授として迎えられた。2011年9月29日、アムステルダムの自宅にて永眠。享年93。

國森由美子(くにもり・ゆみこ)
東京生まれ。桐朋学園大学音楽学部を卒業後、オランダ政府奨学生として渡蘭、王立ハーグ音楽院およびベルギー王立ブリュッセル音楽院にて学び、演奏家ディプロマを取得して卒業。以後、長年に渡りライデンに在住し、音楽活動、日本のメディア向けの記事執筆、オランダ語翻訳・通訳、日本文化関連のレクチャー、ワークショップなどを行っている。ライデン日本博物館シーボルトハウス公認ガイド。