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夢と幽霊の書

【内容】
ルイス・キャロル、コナン・ドイルらが所属した心霊現象研究協会の会長による幽霊譚の古典、ロンドン留学中の夏目漱石が愛読し短篇「琴のそら音」の着想を得た名著、120年の時を越えて、待望の本邦初訳!


「妖怪」と記された看板に誘われて参入する者もあるし、「怪奇」や「怪異」といった標識も、古来、人気がある。あるいは、「魔道」という言葉を用いたのは澁澤龍彦で、ぼくは、この「魔道」の響きに魅かれて「ここ」に迷い込んだ。たしか、10代の終わりごろだった。そうして机辺に「夢」や「幻」や「悪魔」や「怪物」といった言葉が並ぶ本が積み上げられてゆくに従い、さて、この領域の源泉にあるものは何なのか、もっと端的に云うと、さかのぼったところに控えるラスボスのような本、もしくは、闇夜を照らす青い光の光源となるような一冊、いわばバイブルに等しい一冊は何なのかと気になり出した。 本書の原本The Book of Dreams and Ghostsは、この魔道をさかのぼってゆく道程で見つけた稀有な本で、バイブルと呼ぶのにふさわしいかどうかはともかく、きわめて源泉に近いところに長いあいだ隠されていた幻の本と云っていい。 吉田篤弘「120年の時を経てあらわれた幻の本」より

【著訳者略歴】
アンドルー・ラング(Andrew Lang)
1844年、スコットランド生まれ。名門セント・アンドルーズ大学からイングランドのオクスフォード大学に進み、同大学最古の学寮マートンカレッジの特別研究員となる。1875年、ロンドンに移住。ジャーナリストの仕事につき、新聞や雑誌で評論、エッセイなどを発表する。同時にホメロスの『オデュッセイア』や『イリアス』の英訳など、著書や訳書の出版も盛んにおこなう。1889年に『あおいろの童話集』を出版。そのあと、全部で12冊の童話集を上梓する。その延長線上にあるのが、1897年に初版が出版された本書『夢と幽霊』に代表される心霊現象への関心だった。1882年の設立当初から心霊現象研究協会の会員として名を連ね、亡くなる前年の1911年には会長も務めている。邦訳のある著書に、『アンドルー・ラング世界童話集』(全12巻、東京創元社/偕成社)、『書斎』(生田耕作訳、白水社)、『書物と愛書家』(不破有理訳、図書出版社)、「プリジオ王子」(富山太佳夫・富山芳子編、青土社『幸福な王子』所収)など。

ないとうふみこ
上智大学英語学科卒業。主に児童文学の翻訳にたずさわり、訳書に『アンドルー・ラング世界童話集』(共訳、東京創元社)、『思い出のマーニー』(共訳、角川書店)、『完訳 オズのオズマ姫』ほか「オズの魔法使い」シリーズ(復刊ドットコム)、『愛されるエルサ女王』ほか「アナと雪の女王」シリーズ(角川つばさ文庫)などがある。子どものころからの野球ファンでもあり、フィル・ペペ『コア・フォー──ニューヨーク・ヤンキース黄金時代、伝説の四人』(作品社)の訳書もある。

吉田篤弘(よしだ・あつひろ)
1962年東京生まれ。作家。小説を執筆するかたわら、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作とデザインの仕事もおこなっている。著書に、『遠くの街に犬の吠える』(筑摩書房)、『ブランケット・ブルームの星型乗車券』(幻冬舎)、『台所のラジオ』(角川春樹事務所)、『電球交換士の憂鬱』(徳間書店)ほか多数。