目に見えない世界の旅
ペルーのシャーマンが語る聖なる植物の癒やし

ハチュマク
デビッド・L・キャロル
北村京子訳
本体 3,600円
ISBN 978-4-86793-096-0
発行 2025.6
【内容】
◎シャーマニズムの「内側」と植物による癒やしの術
世界中から大きな注目を集めるアヤワスカなど神聖な植物と儀式、シャーマンの世界観、シャーマニズムがもてはやされることの問題……ペルーのシャーマン自らが語る、霊的世界の実態。
植物薬は我々にどのような恩恵をもたらしてくれるのか。シャーマニズムとはどのようなものであって、どのようなものではないのか。
アヤワスカ(南米アマゾン川流域に原生する蔓性植物。煮詰めてお茶として飲用される、催幻覚成分を含む飲料の呼称)などの植物薬を用いた古代の癒やしの技術が世界的な注目を集めるなか、二十年以上にわたって伝統的な癒やしの技を実践してきた著者が、こうした問いに答える。自らがシャーマンになるまでの道のりを明かし、植物薬の儀式がどのように展開されるのか、儀式中の身体・精神に何が起こるのかなどが詳細に語られる。新しく癒やしにあふれた世界のみかたを提示する、霊的世界からの贈り物。
「近年、古代の癒やしの技術――主に植物薬の利用――が広く知られるようになり、今では国際的な注目の的となっている。[…]二一世紀を迎えた今、われわれは再び、植民地時代に起こったものとよく似た文化の衝突を目のあたりにしている。伝統に根ざした霊的な知識が、その原理や繊細さの理解に必要な時間をかけることなく急速に取り込まれるとき、それは消費される商品へと変容する。
現代社会が今後、この伝統の知識を取り入れ、活用する必要に迫られる可能性は高いが、そのためには、西洋世界の側が、古代の癒やしの技の恩恵を理解し、受容するための敬意ある姿勢というものを深く知り、それを身につける努力をすることが不可欠だ。」(本書より)
【内容目次】
はじめに
序文
第1部 シャーマンとしての旅の始まり
第1章 道へと続く道
第2章 ペルーの自然療法師になる
第2部 シャーマンの旅の原則
第3章 シャーマニズムと「生命の力」
第4章 ヒーリングファミリー
第5章 ビジョンの言語 精霊と精霊の世界
第3部 神聖な植物を使った施術
第6章 神聖な植物について
第7章 神聖な植物の儀式について
第4部 人類の過去と未来についての考察
第8章 シャーマンによる施術の暗部
第9章 植物は世界を救えるか
謝辞
訳者あとがき
【著者・訳者略歴】
ハチュマク(Hachumak)
スペイン系ペルー人。リマの中華街で中国気功の施術者として治療師のキャリアをスタートさせた。太極拳の競技会で優秀な成績を収めた後、ペルー北部で高齢者を対象に治療を行なう。この間、先住民のシャーマン、魔女、薬草商のもとで、古代の癒やしの技術についての教えを受ける。現在はアマゾン川に面した密林に施設を構え、薬用植物の栽培、密林の動物の救助、少人数グループでのアヤワスカの儀式、一対一での伝統的なヒーリングセッションなどを行なっている。また、欧米を回って講演や手のひらを使った治療を実施。これまでは人目を引く活動を控えてきたが、周囲の多くの人たちからの勧めにより、シャーマンについて発言していくことを決意。真のシャーマニズムの技術と儀式について発信し、ペルーの雨林と文化を破壊しているアヤワスカを売りにした安易なツーリズムに対抗することを目指している。ハチュマクはシャーマンとしての名前であり、本名はホルヘ・フローレス・アラオス。
デビッド・L・キャロル(David L. Carroll)
ハーバード大学において優等で学士号を取得後、コロンビア大学の考古学修士コースで学ぶ。これまでに健康、セルフヘルプ、スピリチュアリティに関するものを中心に40冊の本を執筆したほか、テレビの脚本を9本手掛ける。著書の一つ『Five Stages of the Soul(魂の5つのステージ)』は4万部を売り上げ、8カ国語に翻訳された。『Spiritual Parenting(スピリチュアルな子育て)』『Living with Dying(死にゆく者と生きる)』はそれぞれ第4刷、第5刷まで版を重ねた。ニューヨーク在住。
北村京子(きたむら・きょうこ)
ロンドン留学後、会社員を経て翻訳者に。訳書に、S・リベイロ『夢は人類をどう変えてきたのか』、J・ソール『〈自由市場〉の世界史』、T・E・ホスキンズ『フット・ワーク』、J・コックス『女たちのレボリューション』、J・E・ユージンスキ『陰謀論入門』、M・ブルサード『AIには何ができないか』、D・ストラティガコス『ヒトラーの家』、A・ナゴルスキ『ヒトラーランド』、P・ファージング『犬たちを救え!』、P・ストーカー『なぜ、1%が金持ちで、99%が貧乏になるのか?』(以上、作品社)、『ビジュアル科学大事典 新装版』(日経ナショナル ジオグラフィック社、共訳)など。