山本周五郎[未収録]時代小説集成

山本周五郎
末國善己編
本体5400円
ISBN978-4-86793-087-8
発行 2025.4
【内容】
「少年少女譚海」、「講談雑誌」、「新少年」などの雑誌に発表された人情譚、怪異譚、冒険譚――。
文豪・山本周五郎による、これまで単行本に収録されなかった作品、流布版との異同の多い作品を一挙集成!
長篇2作品、短篇19作品、幻の作品群が姿を現わす!
山本周五郎が戦前に発表した時代小説は、探偵小説ほど未発見の作品は多くない。それでも散逸が激しい「講談雑誌」や少年雑誌、注目される機会が少ないマイナー雑誌や専門誌などに掲載された作品は、埋もれたままになっている。
本書には、『山本周五郎探偵小説全集』にも、〈周五郎少年文庫〉にも収録されていない、周五郎が戦前に発表した時代小説の中でも特に珍しい作品ばかりを収録した。その多くは単行本未収録で、単行本が底本として流布している作品の初出誌版、逆に初出誌が底本として流布している作品の初単行本版なども収めた。興味のある方は、バージョン違いの作品を比較してみるのも一興である。(「編者解説」より)
【内容目次】
宇都宮釣天井
孝行力士 佐野山権平
伊勢音頭恋寝刃(こいのねたば)
生血を吸う闇峠(くらやみとうげ)の妖怪
幽霊奴(やっこ)の助太刀
乱刃ふたり蔵人
化物五十人力
颱風(たいふう)・静馬の唄
斑猫(まだらねこ)呪文
箕島の大喧嘩
面師(おもてし)出世絵形
四条畷(しじょうなわて)
美少女一番のり
双艶無念流
極意葉一つ
ふりそで道場
豪傑剛太夫
五万石の弟子
戦国少年記
鎧櫃
赤緒の草鞋
編者解説 末國善己
【著者・編者略歴】
山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)
1903〜1967。山梨県生まれ。小学校を卒業後、質店の山本周五郎商店の徒弟となる。文芸に理解のある店主のもとで創作を始め、1926年の「文藝春秋」に掲載された『須磨寺附近』が出世作となる。デビュー直後は、倶楽部雑誌や少年少女雑誌などに探偵小説や伝奇小説を書いていたが、戦後は政治の非情を題材にした『樅ノ木は残った』、庶民の生活を活写した『赤ひげ診療譚』、『青べか物語』など人間の本質に迫る名作を発表している。1943年に『日本婦道記』が直木賞に選ばれるが受賞を辞退。その後も亡くなるまで、あらゆる文学賞の受賞を拒否し続けた。
末國善己 (すえくに・よしみ)
1968年生まれ。文芸評論家。編書に『国枝史郎探偵小説全集』、『国枝史郎歴史小説傑作選』、『国枝史郎伝奇短篇小説集成(全二巻)』、『国枝史郎伝奇浪漫小説集成』、『国枝史郎伝奇風俗/怪奇小説集成』、『野村胡堂探偵小説全集』、『野村胡堂伝奇幻想小説集成』、『探偵奇譚 呉田博士【完全版】』、『山本周五郎探偵小説全集(全六巻+別巻一)』、『山本周五郎[未収録]ミステリ集成』、『【完全版】新諸国物語(全二巻)』、『岡本綺堂探偵小説全集(全二巻)』、『短篇小説集 源義経の時代』、『戦国女人十一話』、『短篇小説集 軍師の死にざま』、『短篇小説集 軍師の生きざま』、『小説集 黒田官兵衛』、『小説集 竹中半兵衛』、『小説集 真田幸村』(以上作品社)など。