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都会の蜃気楼

【内容】
突如画廊に現われた幼馴染、空想の犬を飼う女、雪深い村の無口な少女、湖畔に建つ謎めいた別荘、ある図書館員とふたりの老女、我が子より猫を溺愛する女、かつて妻を描いていた画家、絵画教室の不穏な男――。万華鏡のごとく綾なす、ファンタジックでミステリアスな世界。短篇とショートショートで織りなす、玉手箱のような作品集。

【内容目次】
白いハト
青いピエロの少年
冬の道
ジェミーのクリスマス
屋上の猿
勇気あるもの
まき

龍宮
白い本
漂着
水中花

都会の蜃気楼
風景
画家とモデル
絹の蝶
ミスターX
かな子の見た秋
あとがき

 長い間、こんな本ができたら――と思いつづけて、ようやく今、その願いが叶えられた。それが、短篇小説とショートショートを交互に組み合せたスタイルの、此【ルビ:こ】の作品集である。(中略)
 本書に収めた短篇小説八作品のなかには、ファンタジーの手法を積極的にとり入れたものもあるが、全くそうでないものもある。
 文学としてのミステリーを一つの目標にした私の作品は、読者の心に、どのように届くだろうか。また、ショートショートのなかに組み入れた童話は、どのように受けとめられ、どのような印象をのこすことになるであろう。
(「あとがき」より)