未完結の問い

大西巨人/聞き手・鎌田哲哉
本体 2,600円
46判上製
ISBN 978-4-86182-113-4
発行 2007.2
【内容】
『神聖喜劇』の作家、〈わが文学と世界観〉を初めて語りつくす!
大西巨人が、初めて存分に「わが文学と世界観」を語りつくした待望の書、ついに刊行! 気鋭の批評家、鎌田哲哉を聞き手に、自らの文学的信条、愛する作家・芸術家たち、中野重治・花田清輝ら同時代文学者たちへの鋭利な考察と回想、この国の変わらぬ課題と展望を、縦横に論じる。これは88歳の現役作家が贈る、最高の「文学入門」の書である。
【内容目次】
(1) 『神聖喜劇』、それ以後
〈独立小宇宙〉への意志/中野重治のこと/たった一つの未発表小説……ほか
(2) 『神聖喜劇』、それ以前
「短歌的なもの」の受容と批評/保田與重郎について/新日本文学会と軍隊……ほか
(3) 「様式」の発見、小説の時間
田能村竹田の生き方/『神聖喜劇』の映画化/花田清輝との出会い……ほか
(4) 『深淵』をめぐって
二つの裁判について書く/性について/未完結の問いとして……ほか
(5) 文学と政治
阿部和重と保坂和志/江藤淳について/「戦後民主主義」の弱さ……ほか
【著者紹介】
大西巨人(おおにし・きょじん)
一九一九年、福岡生まれ。小説家・批評家。主な著作に『精神の氷点』、『神聖喜劇』、『天路の奈落』、『五里霧』、『大西巨人文選』、『深淵』ほかがある。戦前の日本軍を真正面から描き切った大長編『神聖喜劇』は、戦後文学の金字塔として、近年ますます評価が高い。
鎌田哲哉(かまだ・てつや)
一九六三年、北海道生まれ。批評家。「丸山眞男論」で第四一回群像新人文学賞を受賞。「重力」編集会議参加者。