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性愛古語辞典
奈良・平安のセックス用語集

【内容】
いますぐにでも使えるご先祖様たちの雅な言の葉 たおやかで、儚い、やんごとなき珠玉の言霊たち

有史以来初の古代エロ語辞典!

『古事記』、『源氏物語』から漢文、仏教書、性指南書、古代エロ小説、稀覯書まで、紫式部、殿上人、坊主、市井の人々が“男も女もす(為)なる”ために使った言葉を徹底蒐集。
あの時代をディープに知りたい人必読のありそうでなかった古語辞典。

★記載例――
・あい【愛】
性の欲望に執着し、性的な関係をむさぼること。秋山虔編の『王朝語辞典』によれば、仏教が伝来して以来、とくに平安時代、男性貴族の間では性欲をむさぼる気配が濃厚で、愛とは性欲に直結するもの、つまり性交のことという理解が広がった。『源氏物語』はその具現化された形である。愛が相手との幸せを願う美的な感情を含むようになったのは、キリスト教や西洋文学が導入された明治時代以降のこと。

・す【為】
男女の性行為のこと。『日本書紀』(歌謡3)に「小林に我を引き入れて為(せ)し人の面も知らず家を知らずも」という歌がある。

・くうせんちょう【空蝉蝶】
『房内篇』で説かれた三十法の第十一で、蝶が空中でひらひらと舞っている様子。男は仰向けに寝て、両足を伸ばして開く。女は男の上に坐って向かい合いに、両脚を床に付ける。膝頭を手で押さえながら陽鉾(陰茎のこと)を玉門に入れる。

・ちよ【千夜】
千の夜。どんなに愛し合っても、まだ愛し足りないという思いの表現で使われることが多い。『伊勢物語』に「秋の夜の千夜を一夜になせりとも……」という歌がある。

・といんごう【兎吮毫】
ウサギが細い毛を吸う様子。『房内篇』で説かれた九法の第七。「男は仰向けに寝て脚を伸ばす。女はその上に後ろ向きになって胯がり、両膝を男の体の外側に置く。女の頭は男の足と向き合う姿勢である。女が両手で体を支えて頭を低くすると、男は玉茎を挿入し陰核を突く……」


【著者略歴】
下川 耿史(しもかわ・こうし)
1942年、福岡県生まれ。著述家。風俗史家。
著書に、『10代の遺書』『日本残酷写真史』『異常殺人カタログ――驚愕の200事件』(以上、作品社)、『遊郭をみる』(林宏樹との共著、筑摩書房)、『死体と戦争』『日本エロ写真史』『変態さん』(以上、ちくま文庫)、『世紀末エロ写真館』『殺人評論』『死体の文化史』(以上、青弓社)ほか。
編著に、『環境史年表』(昭和・平成編/明治・大正編)、『近代子ども史年表(明治・大正編/昭和・平成編)、『家庭史年表(昭和・平成編/明治・大正編)』、『性風俗史史年表(明治編/大正・昭和戦前編/昭和戦後編)(以上、河出書房新社)ほか多数。