児玉源太郎
長南政義
本体 3,400円
ISBN 978-4-86182-752-5
発行 2019.6
【内容】
台湾統治を軌道に乗せ、日露戦争を勝利に導いた“窮境に勝機を識る”名将の実像を、防衛省防衛研究所、防衛大学校で児玉を講義した明治軍事史の専門家が、軍事学的視点と新史料「児玉源太郎関係文書」を初めて使用し描き出す。
日露戦争の作戦を指導した男の虚像と実像を暴く。新史料で通説を覆す決定版評伝!
「児玉源太郎関係文書」を使用した初の評伝!
・児玉は二〇三高地で何をやったのか?
・児玉の用兵思想とは?
・児玉は天才的戦術家だったのか?
・統帥権改革の真相は?
・児玉が台湾統治で用いた「油さし政治」とは?
二〇三高地攻略戦を指導し、日露戦争を勝利に導いた男・児玉源太郎。だが、児玉は戦争・作戦指導のみならず、軍事行政、軍制改革、軍隊教育、植民地統治でも成功を収めた。さらに、児玉には「平時の予言的改革者」としての側面もあった。これまでにも児玉の評伝は複数刊行されているが、近年になり公開された「児玉源太郎関係文書」を含む児玉関係史料を網羅的に収集することで、新たな事実が発見され通説を修正する必要が出てきた。本書は多面的才能を持つ児玉の生涯を、新史料を駆使し、軍事学・戦史的視点を中心に描いた、児玉評伝の決定版である。
【著者略歴】
長南政義(ちょうなん まさよし)
戦史研究家。國學院大學法学部卒業。國學院大學法学研究科博士課程後期単位取得退学。政策研究大学院大学COEオーラルヒストリー・プロジェクト研究アシスタント、国会図書館調査及び立法考査局非常勤職員、國神社國偕行文庫などを経て現職。
防衛省防衛研究所研究会講師(2017年)、防衛大学校部外講師(2018年)として児玉源太郎をテーマとした講義・講演を行なう。
著書『日露戦争第三軍関係史料集 大庭二郎日記・井上幾太郎日記でみる旅順・奉天戦』(国書刊行会、2014年)、『新史料による日露戦争陸戦史 覆される通説』(並木書房、2015年)。共著『日清戦況写真』(国書刊行会、2013年)など。
日露戦争陸戦史、特に乃木希典率いる第三軍の研究の第一人者として知られ、その著作は、「日露戦争研究に大きな風穴を開ける」「画期的労作」(日本歴史学会『日本歴史』書評)、「日露戦争研究者が座右の書とすべき基本的文献」(軍事史学会『軍事史学』書評)、「軍人乃木を批判するには本書以上の研究書を書かねばならない」(帝京大学教授・筒井清忠『明治史講義【人物篇】』筑摩書房)など、学界関係者から高い評価を得ている。