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映画監督 ドン・シーゲル
ノワールを遠く離れて

【内容】
『第十一号監房の暴動』『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』『殺し屋ネルソン』『白い肌の異常な夜』『ダーティハリー』『突破口!』……40年にわたりハリウッドでアクション映画、犯罪映画を撮り続けた職人監督のキャリアと主題を詳細に辿る、モノグラフの名手による書き下ろし長篇評論!
【詳細なフィルモグラフィー付】


 誰もがドン・シーゲルを知っている。シーゲルは、一九四〇年代半ばに長編映画の監督となり、八〇年代初頭に至るまでのおよそ四十年間、アクション映画、犯罪映画を撮り続けた商業映画作家である。(…)シーゲルはスタジオ・システムの崩壊によっても、自身のスタイルを大きく変化させることはなかった。(…)類型を反復することで達成できた過激さ。それは映画という表現媒体の根幹にまで達している。まず何より本書は、シーゲルが作り続けた活劇の特徴、主題の絡み合いを腑分けして叙述し、彼の作品がその類型性ゆえに達成しえたものを見定め、彼を一人の映画作家として遇することを目的とする。(「まえがき」より)


【内容目次】
まえがき

第一章 修業 ワーナーでの短編監督デビューまで
アクション映画作家ドン・シーゲル/生誕から大学卒業まで/演劇経験/ワーナーへ/モンタージュ部門/モンタージュ=オーヴァーラップ/ホークス、ウォルシュ、カーティス、リトヴァク/『ヒトラーは生きている』でのモンタージュ/自作に生かされた編集技術/バロックとビザール/監督昇進へ

第二章 初期 シーゲルがシーゲルになるまで
『ベツレヘムの星』/『ビッグ・ボウの殺人』/『暗闇の秘密』/シーゲルの製作方法/ワーナー退社/『仮面の報酬』/『贅沢は素敵だ』/五十四分の映画/『暗黒の鉄格子』/『中国決死行』/TVの仕事

第三章 中期 シーゲル世界の完成と展開
スタジオ・システム崩壊期の同時代作家たち/ウォルター・ウェンジャー/ウェンジャーとクレイン・ウィルバー/社会批判的な視点とリアリズム/弟子 ペキンパーとイーストウッド/『地獄の掟』/『USタイガー攻撃隊』/『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』/反共、反=反共/『暴力の季節』/『スパニッシュ・アフェア』/『殺し屋ネルソン』/『裏切りの密輸船』/『殺人捜査線』/『グランド・キャニオンの対決』/『疑惑の愛情』、『燃える平原児』/映画化されなかった西部劇/『突撃隊』/『殺人者たち』/『犯罪組織』/『太陽の流れ者』/キャリアの不安定性と一貫性

第四章 後期 スタジオ・システムの崩壊とシーゲル作品の変化
製作状況の変化/『刑事マディガン』/『マンハッタン無宿』/『ガンファイターの最後』/『真昼の死闘』/『白い肌の異常な夜』/『ダーティハリー』/『突破口!』/『ドラブル』/『ラスト・シューティスト』/『テレフォン』/『アルカトラズからの脱出』/『ラフ・カット』/『ジンクス!あいつのツキをぶっとばせ!』/五〇年代作家の引き際

第五章 敵地 シーゲルの映画的時空間
敵地への変貌/戦争映画の場合/任務として逆境へ/突然生じる逆境/究極の敵地としての監獄/メッセージ性、悪役の不在/感情移入できない構造/過去の不在/『アルカトラズからの脱出』/「外」の不在/唐突さ/袋小路/愚直と過激

第六章 偽装 シーゲル的イメージ
敵地でなくなること/偽装/犯罪者たち/偽装から操作へ/偽装の主題の現れ/『白い肌の異常な夜』/『突破口!』/その後の作品での偽装/『ラフ・カット』と『ジンクス!あいつのツキをぶっとばせ!』/シーゲルとヒッチコック/イメージの他者性=あだ名/最も恐るべき他者イメージ

第七章 追跡 シーゲル映画が向かう先
唐突な始まりと終わり/タイムリミット/非ノワールとしての『殺人者たち』/白か黒か/画面としての反=ノワール/追う者と追われる者の逆転/追跡ならざる追跡/「外」/姿勢としての「外」

ドン・シーゲル フィルモグラフィ
あとがき


【著者略歴】
吉田広明(よしだ・ひろあき)
1964年生まれ。映画評論家。著書に、『西部劇論──その誕生から終焉まで』、『亡命者たちのハリウッド──歴史と映画史の結節点』、『B級ノワール論──ハリウッド転換期の巨匠たち』、『映画監督 三隅研次――密やかな革新』(以上作品社)、『ジム・ジャームッシュ』、『ヴィム・ヴェンダース』、『サム・ペキンパー』、『ジャン・ユスターシュ』、『映画監督の未映像化プロジェクト』(以上共著、エスクァイア マガジン ジャパン)、ジム・トンプスン、黒原敏行訳『犯罪者』(解説、文遊社)など。