イエスという男 第二版[増補改訂版]
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田川建三
本体 2,800円
版型 46判上製
ISBN 978-4-87893-681-4
発行 2004.06
【内容】
イエスはキリスト教の先駆者ではない。歴史の先駆者である。
歴史の本質を担った逆説的反逆者の生と死!
イエスという男がどこから来たのか、我々は知らない。「ナザレのイエス」と呼びならわされていたから、ガリラヤ地方の村ナザレの出身だったのは確かだろう。(…)しかし、ある日イエスは決断してナザレの村を出て、あのような活動をはじめた、というのではない。いつ、どのようにして出てきたのか、気がついてみたら、イエスという男はああいう活動をやっていた、ということだろう。(…)だいたい、あれだけの活動が、一つ二つの決心やきっかけでできるものではない。それはイエスという男の生の帰結であり、出発であり、内容であった。――「第一章 逆説的反抗者の生と死」より
【内容目次】
第一章 逆説的反抗者の生と死
一 歴史の先駆者
二 イエスの出生
三 それならお前はどう祈る?
四 イエス叙述の方法
五 イエスは愛の説教者ではない
六 「十戒」批判
七 逆説的反抗
八 貧しい者は本当に幸いか?
第二章 イエスの歴史的場
一 ヘロデ家とローマ風
二 ソロモンの栄華
三 宗教史的背景?
四 イエスと熱心党
五 帝国の税金と神殿税(カイサルのものと神のもの)
第三章 イエスの批判――ローマ帝国と政治的支配者
一 イエスの相手
二 災害としてのローマ支配
三 右の頬をなぐられたら
四 諸国民の支配者
五 奴隷について
六 社会関係と神観念
第四章 イエスの批判――ユダヤ教支配体制にむけて
一 預言者の墓を建てる者
二 イエスと旧約律法
三 律法学者批判
四 「汚れ」と「清め」――パリサイ派の生活支配
五 「安息日」批判
六 神殿貴族の権力
第五章 イエスの批判――社会的経済的構造に対して
一 日雇労働者の賃金もしくは社会的平等
二 大土地所有、農業労働者、「失業」
三 分水嶺の両側――地主の慈善、神の前の平等
四 農民一揆――隠喩的語り口の限界
五 資本の増殖と能力崇拝
六 小作人の借金を棒引きにせよ
七 富に対する直感的な反発
第六章 宗教的熱狂と宗教批判の相克
一 イエスにおける宗教的熱狂の自己相克
二 神の国――ユダヤ教の発想
三 神の国――洗礼者ヨハネの極限
四 「罪の赦し」を祈りたければ……
五 イエスと洗礼者ヨハネ
六 ヨハネの死
七 倫理観念の異様な拡大?――「姦淫」の女
八 イエスのまわりの女たち
九 「神の国」の逆説的批判
十 宗教的熱狂――病気治癒へののめりこみ
十一 植民地支配下の奇跡信仰
十二 イエスの熱狂――異常が日常に浸透しはじめる
十三 「人の子」――終末論的確信
十四 「人の子」――一人の人間の確信と絶望
十五 イエス受難物語
十六 十字架の死の苦痛
あとがき/
索引
ヘロデ家の家系(表)
イエス時代のパレスチナ(地図)