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ブキの物語/クレオール民話

【内容】
あまりに強欲で残酷、でも間抜けでだまされてばかりいる力の強き者と、悪知恵をたくみに使って狡猾に生きのびる、小さき者。
カリブ海の島国ハイチと仏領グアドループで採集された民話、全72話。詳細な訳者あとがきで、物語の成り立ちや植民地時代からの歴史と文化も深く理解できる。

 これらの物語はとても細かい点まで、わたしたちの国の農民から集められたもので、彼らはわたしたちの伝統的民俗の一部、わたしたちの民衆の口承文学の一部を成しています。(…)民俗的な価値に哲学的な価値が加わり、ブキの物語は民衆の精神がその観念と渇望の痕跡を無意識のうちに残した国民的記念碑なのです。(「ブキの物語」、「まえがき」より)
 マダム・ショントは、これらのいろいろな話を語り部たちの口から採集しました。驚くべき道徳心と辛抱強さから、マダム・ショントは精確であることを気にかけて、細部に至るまで、翻訳することで失われてしまったであろう、この土地の味わいすべてを留めました。ありのままの話の数々が、魅力的な作品の選集を形成しています。(「クレオール民話」、「読者へ」より)


【内容目次】
クレオール民話 マダム・ショント
読者へ Ch・モワナク
第一部 民話
ジャン坊やの手柄 ジャン坊やと大男/ジャン坊やとちびのマリ/どうして背中に溝があるのか/ジャン坊やと怒らない旦那
阿呆のジャンのはなし 阿呆のジャン
さまざまな民話 シカ坊や/青ひげ/サンドリヨン
第二部 寓話
ザンバとウサギのものがたり ウサギがザンバを馬にする/ザンバとウサギが市場でお母さんを売る/ザンバとウサギが王様の牛を殺す/ザンバとカネフィスのたまご/ウサギがザンバのシロップを飲む/ザンバとウサギがイラクサの野原を耕す/ウサギがザンバの魚を盗む/ウサギとザンバのヤムイモ/どうしてウサギは四本足で歩くのか/ウサギが家を建てるためにしたこと
さまざまな寓話 どうしてカメの甲羅は割れているのか/どうしてクモの腰は細いのか/どうしてサルとイヌはしゃべらないのか

ブキの物語 シュザンヌ・コメール=シルヴァン
まえがき
一 ブキの風呂
二 どうしてサルは話さなくなったのか
三 ミゾ
四 ブキとマリスがお母さんを売る
五 ヒツジの国のブキ
六 ヒツジの仕返し
七 カブリの仕返し
八 ホロホロチョウ狩り
九 泥棒の泥棒
十 馬具をつけたブキ
十一 ブキの結婚
十二 ヤムイモ畑
十三 マリスが決してブキをゆるさなかったこと
十四 カングアメールの象
十五 また別の象の話
十六 トウェ……ファ……マロレ
十七 モンプレジール
十八 クジラどんの賭け
十九 王様の泉
二十 マリス、おお! お前が正しい
二十一 ブキのお通夜
二十二 マリスがおじさんにひどいいたずらをし続けることについて
二十三 その名のとおりのマリス
二十四 勝ち取った雄牛
二十五 いちばん仕事をする者
二十六 魔法のイチジクの木
二十七 洗礼
二十八 マリスが結婚を望む
二十九 ミュロミュバ
三十 マリスがもう少しだけ知恵がほしいと神様にお願いしに行ったのが見られたことについて
三十一 マリスの結婚
三十二 宮殿のマリス
三十三 魚のたまご
三十四 また別のたまごの話
三十五 ガチョウたち
三十六 サルとブキ
三十七 小さなカブリの悪知恵
三十八 リゼット
三十九 灰売りのブキ
四十 魔法の壺
四十一 思わぬ当たり
四十二 体のない頭
四十三 カブリティの変わり身
四十四 ヴィルヴォルト
四十五 サル、マリス、ブキ
四十六 マリスとソソ
四十七 コンペ・アンヴォワジュテが相変わらず馬鹿をやらかしたことについて
四十八 マリスどんの賭け
四十九 ブキ一家の最期
五十 マリスの最期

訳者あとがき


【著者・訳者略歴】
シュザンヌ・コメール=シルヴァン(Suzanne Comhaire-Sylvain)
1898年、法学者・政治家・文学者のジョルジュを父として生まれ、ハイチ初の女性人類学者となる。1940年に『ブキの物語』(Le Roman de Bouqui)を発表。弟のノルミルは詩人でハイチの民族文化運動土着主義の機関誌「アンディジェヌ」の共同創刊者。妹のマドレヌはフェミニズム活動家。もうひとりの妹イヴォンヌはハイチで初の女性医師。

マダム・ショント(Madame Schont)
1895年、ロレーヌ地方モゼル県に生まれる。1923年にドイツ語の教授資格(アグレガシヨン)に合格し、1924年にジュリアン・ショントと結婚。1930年、グアドループに移住し、ポワンタピトルのリセ・カルノにフランス語教師として勤務。カリブ海植民地三百周年を記念して1935年に『クレオール民話』(Quelques contes creoles)を発表。

松井裕史(まつい・ひろし)
金城学院大学文学部准教授。ニューヨーク市大学大学院センターで博士候補資格取得後、フランスのパリ第八大学で博士号取得。文学博士。フランスおよびフランス語圏文学、とりわけカリブ海が専門。訳書に、テレーズ・ジョルジェル『カリブ海アンティル諸島の民話と伝説』、ジャック・ルーマン『朝露の主たち』、ジョゼフ・ゾベル『黒人小屋通り』(以上作品社)がある。