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ヴェネツィアの出版人

【内容】
“最初の出版人”の全貌を描く、ビブリオフィリア必読の長篇小説!
グーテンベルクによる活版印刷発明後のルネサンス期、イタリック体を創出し、持ち運び可能な小型の書籍を開発し、初めて書籍にノンブルを付与した改革者。さらに自ら選定したギリシャ文学の古典を刊行して印刷文化を牽引した出版人、アルド・マヌツィオの生涯。


 アルド・マヌツィオをテーマにした長篇に着手し、文芸復興のルネサンス期に深く浸る中、印刷・出版を取り巻く当時の状況と今の状況に相似点が多いことに少なからず驚かされた。
 彼の偉大さは何よりも、本と出版のあり方を変えたところにある。技術と生産性を重視する職人と商人が印刷事業の実権を握り、菓子のごとく本を作っては売っていた時代に、アルドは絶えず文学的意義から良書を出版する方法を模索し、常軌を逸した試みをいくつも打ち出した。アリストテレスの全集をはじめとする、ギリシャ文学の原典にこだわったのもその一つだし、みずから出版物の選定をし、校正をしていたことも当時としては革新的だった。彼は本当の意味で最初の出版人だったと言っていい。
――ハビエル・アスペイティア


【著訳者略歴】
ハビエル・アスペイティア
1962年スペイン・マドリード生まれの作家・編集者。1989年『メッサリナ』で小説デビュー。3作目『イプノス(催眠)』で1997年ダシール・ハメット国際推理小説賞を受賞。現在までに小説6作を発表、うち数冊はギリシャ語・イタリア語・ロシア語に翻訳されている。1996年頃から文芸編集者として活動し、1998年から2004年までレングア・デ・トラポ社の副編集長、その後2010 年までエディトーレス451社の編集長を務める。

八重樫克彦・八重樫由貴子
翻訳家。訳書に、フェルナンド・イワサキ『悪しき愛の書』、カルロス・フエンテス『誕生日』、マリオ・バルガス=リョサ『悪い娘の悪戯』、『チボの狂宴』、マルコス・アギニス『逆さの十字架』、『天啓を受けた者ども』、『マラーノの武勲』、エベリオ・ロセーロ『無慈悲な昼食』、『顔のない軍隊』(以上作品社)、フェルナンド・イワサキ『ペルーの異端審問』、フアン・アリアス『パウロ・コエーリョ 巡礼者の告白』(以上新評論)、ハビエル・シエラ『失われた天使』、『プラド美術館の師』、『青い衣の女』(以上ナチュラルスピリット)ほか多数。


【内容目次】
序章 何年ものち
 イチゴかごの娘/静かなる読み手/世の中を読む
第一部
第一章 漂流者
 またとない時に/ホロスコープ
第二章 機械
 塔の商標/ラ・ストゥーファ/懊悩
第三章 狂人たちの祝宴
 巣窟の中の女神/天使と悪魔/居酒屋にて/愛の七夜
第四章 三美神
 契約/家畜市
第二部
第五章 結婚式の晩
 ベール/乾杯/屋根裏部屋の熱気
第六章 トッレザーニの回想
 扉の神ヤヌス/宣伝ビラ/ラ・グランデ・コンパニア
第七章 夢における愛の戦い
 魔法の言葉/手軽に読める喜び/私に触れるな
第八章 ゆっくり急げ
 韻文と火/正気を失った人質/矢とコバンザメ/説教
第三部
第九章 ヴェネツィアを離れて
 逃避/書物の死
第十章 エピクロスの運命の下に
 ノヴィでの隠遁/妻の出現/荒れ果てた菜園
第十一章 エラスムスの嘆き
 キリスト教世界初の大文筆家/卑しき贅沢/焚書がもたらした安堵感
第十二章 奥書(フィナーレ)
 その時が来た/ラファエレ・レジオ司教の弔辞
訳者あとがき