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史話 日本の古代 第七巻 万葉びとの心と暮らし

【内容】
「戦争の世紀」といわれた二十世紀が幕を閉じ、私たちをとりまく国際環境は、従来とは全く異なった様相を呈しています。国際情勢が大きく変動する中で、今ほど日本の社会、日本人の本質が問われているときはありません。
グローバリズムが世界を席巻している現時点では、大戦後五十数年続いた国家の名前が消失したり、国家の概念そのものが大きく揺らいでいます。まさに人々がはじめて国を創り、国家体制を造りあげた古代の時代に相似しています。
周囲を波に洗われる日本列島ですが、決して隔絶された「島国」だったわけではありません。古代においては、近接する東アジアの国ぐにの影響を受け、あるときは大量の難民が流入し、あるときは先進文化をたずさえた人びとが多数渡来して新しい文化の基層をつくりました。またあるときは政変が起きて、社会と人びとの生活に変化をもたらしました。先人たちはどのような思い、方法で現代に続く「日本」を創ったのでしょうか。
科学が高度に発達した今日、有史以前の学説は炭素同位体による年代測定、花粉分析、DNA鑑定などにより、より正確に解析されつつあります。しかしながら、いかに科学的知識をもってしても、文化を創り、社会を形成するに至る古代人の心情の機微にまでは達することはできません。客観的資料の乏しい古代世界はいまだ謎とロマンに満ちており、新たな発掘や資料発見により従来の定説がしばしば大きく塗り替えられ、私たちの想像力はより一層かきたてられます。
本企画は、そうした歴史に対する想像力を踏まえた「史話」という観点から、歴史学や考古学、さらには人類学や民俗学の成果を紹介しながら、古代日本の「生きた姿」をアンソロジー形式で浮かび上がらせようとするものです。
指針なく方向の定まらない現代において、「日本の古代」をひもとくことは、「日本の未来」を切り開く鍵となるでしょう。。

【内容目次】
はじめに(中西進)
平城遷都(抄録・青木和夫)
『出雲国風土記』にみる地域社会(関和彦)
万葉時代の人口調査(中西進)
唐王朝と遣唐使(西嶋定生)
コラム 元入唐留学生、二番手の生涯――吉備真備(東茂美)
長屋王家の木簡(東野治之)
藤原宮子=「海女の娘」の伝承(梅原猛)
コラム 聖武天皇の巡幸――紫香楽宮跡(高橋美久二)
東大寺・秘められた皇后の悲劇(永井路子)
恵美押勝の専権(吉田孝)コラム 「族を喩す歌」――大伴家持(新谷秀夫)
行基と鑑真(栄原永遠男)
唐招のこころ――深い気品(岡部伊都子)
女帝孝謙のシナリオを演じた道鏡(田辺昭三)
修験の山と蔵王権現(山折哲雄)
荒ぶる神(瀧音能之)
コラム 貨幣の魔力――富本銭と和同開珎(松尾光)
洗濯休暇があった古代の衣料事情(武田佐知子)
意外にグルメ? 古代人の食生活(金原正明)
乳の喪失(三浦佑之)