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ヴィクトリア朝怪異譚

【内容】
イタリアで客死した叔父の亡骸を捜す青年、予知能力と読心能力を持つ男の生涯、先々代の当主の亡霊に死を予告された男、養女への遺言状を隠したまま落命した老貴婦人の苦悩。
日本への紹介が少なく、読み応えのある中篇幽霊物語四作品を精選して集成!


一八六〇年代には今日のミステリやスリラー小説の源流になったと目される作品が次々と出版され、また、怪奇小説、恐怖小説の分野で優れた作品が数多く発表されたのもこの時代であった。内容的に長い話にはしにくかった恐怖小説は中短篇が主体で、特にクリスマスの時期になると、各雑誌が競って幽霊物語を掲載し、当時の文壇の大御所であった作家も好んで幽霊譚を寄稿した。比較的長い物語の場合、優れた作品でありながら、選集に収録するには長すぎるし、かといって、それ一作を単行本として刊行するには短かすぎる、ということで、あまり日の目を見ずにきたという作品もかなりある。本書では、そうした長めの怪異譚の中から、読み応えのある力作で、かつ、日本の読者にはあまり馴染みがない作品を四篇選び、これまでにない趣のアンソロジーの編纂を試みた。――三馬志伸「解題」より


【内容目次】
ウィルキー・コリンズ「狂気のマンクトン」(1855)
ジョージ・エリオット「剥がれたベール」(1859)
メアリ・エリザベス・ブラッドン「クライトン・アビー」(1871)
マーガレット・オリファント「老貴婦人」(1884)
訳註/訳者解題


【著者・編訳者略歴】
ウィルキー・コリンズ(Wilkie Collins)
1824年ロンドン生まれ。法律家修業を経て、20 代後半から作家活動に入る。30代半ばで発表した『白衣の女』によって一躍脚光を浴び、1860年代に大流行したセンセーション小説の礎を築いた。代表作は、『白衣の女』の他、『ノー・ネーム』『月長石』などで、後者は世界最初の長篇推理小説としても有名。1889年没。

ジョージ・エリオット(George Eliot)
1819年イングランド中部ウォリック州生まれ。本名メアリ・アン・エヴァンズ。神学書の翻訳や評論活動を経て30代後半から創作活動に入り、『アダム・ビード』で成功を収めた後、『フロス河の水車場』や『ミドルマーチ』など、英文学史上に残る傑作を次々に発表した。邦訳も多数。1880年没。

メアリ・エリザベス・ブラッドン(Mary Elizabeth Braddon)
1835年ロンドン生まれ。一家を養うため、17歳からの約8年間、旅回りの劇団で舞台に立つ。1860年から文筆活動を開始。翌年に連載が始まった『レイディ・オードリーの秘密』のヒットにより、コリンズらと共にセンセーション小説の流行を支え、その後80作以上の小説を発表した。1915年没。

マーガレット・オリファント(Margaret Oliphant)
1828年エディンバラ郊外に生まれる。21歳の時に作家デビューし、以後90作以上の小説を発表する。「カーリングフォード年代記」と総称される一連の作品が有名だが、50歳を過ぎてから書き始めた超自然物語にも優れた作品が多く、‘The Open Door’は江戸川乱歩によって高く評価された。1897年没。

三馬志伸(みんま・しのぶ)
1959年千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。同大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学(文学修士)。玉川大学文学部教授。著書に、Jane Austen In and Out of Context (慶應義塾大学出版会、2012)、訳書に、メアリ・エリザベス・ブラッドン『レイディ・オードリーの秘密』(近代文藝社、2014)などがある。