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家康の置文

【内容】
徳川御三家の水戸藩は何故倒幕の拠点となったのか。 水戸光圀『大日本史』編纂に秘められた家康の深謀。 延宝二年(一六七四)四代将軍家綱の時、尾張国丹羽郡西成村に小さな変事が起こる。木地師の熊沢彦八一家が失踪したのである。また、上総国長柄郡六地蔵村でも金山神社の神主・竹山一家が失踪する。その事件の前後に数人の水戸藩士が何故か近くで目撃されたという。 それから六年が経ち、後に犬公方として知られる綱吉が第五代将軍となる。その側近中の側近として権勢を振るうのが柳沢吉保である。吉保は全国に鳥見や隠密同心と呼ばれる探索方を放ち、全国の大名の動向を隙間なく見張らせた。 その吉保の耳に全国に出没する水戸藩士の奇怪な行動が絶え間なく入るようになる。あるいは、全国の神社の古文書を強引に借り受けていること。あるいは、京の公家の間を歩き回って後醍醐天皇にまつわる南朝の史料を集めている、などである。どうやら、南朝の正当性を立証するつもりらしい。 現皇室は光厳天皇につながる北朝の皇統である。この噂を耳にした霊元上皇も黙視できず調査に乗り出したという。幕府には林大学頭が編纂した正史『本朝通鑑』がすでにある。水戸の試みがこれに背くものであれば由々しき事態である。 かくて綱吉と光圀との総力をあげた確執が始まる。そしてこの水戸藩の国を挙げての国史編纂事業には、百年二百年先を見据えた、徳川幕府延命を図る、水戸藩主のみに伝えられた、家康による壮大な深謀が隠されていたのである。

【内容目次】
一 不思議な旅
二 劣り腹の将軍
三 宝探しと怨霊
四 側用人
五 隠密
六 苦々しき事
七 光圀史観
八 対決

【著者紹介】
本名=黒須孝治 1932年千葉県生まれ。1955年早稲田大学文学部卒業。日活株式会社入社。映像本部企画部長、テレビ本部企画部長を経て現在フリープロデューサー。著書に『元禄蘇民伝』『天保蘇民伝』『役小角(全3巻)』『覇王不比等(全3巻)』『鉢屋秀吉(上・下)』(すべて作品社)。