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ヒトラーの家
独裁者の私生活はいかに演出されたか

【内容】
3つの家に隠された真実
総統(フューラー)は自らの私的空間さえも宣伝(プロパガンダ)の武器にした――。

第三帝国時代の膨大な史料をひもとき、邸宅の設計図から、インテリアや家具などの詳細、知られざる重要人物、当時の内外の報道に至るまで詳述。
ナチズムの恐るべき実態に新たな角度から迫る。
[図版多数収録]


「第三帝国時代にあれほど多くの注目を集めていたにもかかわらず、ヒトラーの家庭空間はこの時代の政治史および建築史にはめったに登場しない。ヒトラーの住居で行なわれた数々の外交会議についての記事を書いた人々は、その背景となる空間にはほとんど言及しなかった。ヒトラーが自分の家を、すぐれた指導者かつ教養ある人間としての自らのアイデンティティを演出する舞台セットとして、積極的に利用していたにもかかわらずだ。
〔……〕結局のところ、総統の家やそれを作り出した人々がこれまであまり注目を浴びてこなかったいちばんの理由は、学者たちが第三帝国のプロパガンダをあまりに当然のものとして受け入れてきたからなのかもしれない。そのプロパガンダとは要するに、ヒトラーの家庭空間は、政治やイデオロギーの世界の外にあるというものだ。筆者はしかしこれとは逆に、ヒトラーの家庭はきわめてイデオロギー的な空間であり、ナチ体制が生み出したヒトラーに関するプロパガンダのなかでも、とくに大きな成功を収めたものの中心に、明確に据えられていると考えている」(本書「序文」より)


【内容目次】
序文 家が持つパワー
第I部
第1章 ヒトラー、家を構える――一九二八年、独身生活に訪れた転換期
第2章 首相の暮らし――古い邸宅、新しい体制
第3章 洗練されたインテリア―一九三五年、プリンツレゲンテン広場のアパートの改装
第4章 ヴァッヘンフェルト・ハウスからベルクホーフへ――帝国を代表する家庭
第5章 ゲルディ・トロースト――ヒトラーが選んだもうひとりの建築家
第II部
第6章 選挙政治と「私人ヒトラー」の発明
第7章 アルプスの誘惑――プロパガンダと「山の男」
第8章 ベルヒテスガーデンの名士――外国報道における神話の形成
第9章 戦争と英語圏メディアにおける私人ヒトラーの扱いの変化
第10章 地下室の秘密――爆撃、略奪、ヒトラーの家庭生活の再解釈
第11章 「アドルフはもうここには住んでいない」――騒動が絶えないヒトラーの家のその後
謝辞/訳者あとがき
図版クレジット/参考文献/原註/索引


【著訳者略歴】
デスピナ・ストラティガコス(Despina Stratigakos)
ニューヨーク州立大学バッファロー校建築設計学部教授。専門は建築史。建築と権力の交差という問題に関心をもつ。主な著書に、A Women's Berlin: Building the Modern City (University of Minnesota Press), Where Are the Women Architects? (Princeton University Press) がある。

北村京子(きたむら・きょうこ)
ロンドン留学後、会社員を経て翻訳者に。訳書に、『なぜ、1%が金持ちで、99%が貧乏になるのか?』『犬たちを救え!』『ヒトラーランド』『ジャパナイゼーション』(以上、作品社)など。